青二歳

忠直卿行状記の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

忠直卿行状記(1960年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

菊池寛"忠直卿行状記"映画化。権力の座にある人間の孤独と狂気を描き、人間の信頼を問う文芸作。市川雷蔵なかなかの熱演。殺陣も美しい。
家康公から初花の茶入れを下賜され、夏の陣のあと広大な領地を授けられた忠直。徳川治世において誉れ高く瑕疵のない人生に思われたがーー。
彼は武芸に秀いで領内で臣下たちと武芸大会をひらいていた。しかし実は勝ちを譲られていたことを耳にした忠直は、忠臣と信じていた者たちの阿諛便佞を疑う。どうか実力で相手をしてほしいと願うもその臣下は切腹してしまう。「やつらは己の命をかけて嘘を守ったのかー賞賛はすべて偽りだったのかー」真の忠義を、否、真に自分と向き合ってくれる人間を求めあがく。
(同じような入り方で臣下のお追従を知り己の未熟を恥じる若殿を"濡れ髪剣法"で同じく市川雷蔵が演じていますがこちらはコミカルで素敵な軽喜劇。おすすめ。)

お母さん水谷八重子?初代…?ええぇ〜若かりし頃と面影がちがう…年取ってからの方がよいお顔だなぁ。あと中村鴈治郎が徳川家康です♡カメオ出演レベルのチラッとだけだけど首をすぼめて老家康公って感じでまーかわいい〜。市川雷蔵を勇猛な孫と誇らしげでジジ馬鹿っぷり。名物・初花の茶入れを下賜してニコニコ。
映画として出来がいいかというと実は微妙。菊池寛の題材が実は時代劇向きでなく、市川雷蔵の力と大映の豪華さでもっているというか。例えば今になって、スカスカの低予算時代劇で、時代劇の経験値の少ない俳優でリメイクとかやられたらお寒くなること必至。このキャストとスタッフの隙のない時代劇ならではの様式美に加え、キャストらの美しい"武家ぶり"の所作がストーリーに緊張感を与えてくれるからこそのドラマ。
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