Jun55

K.G.F:CHAPTER 2のJun55のレビュー・感想・評価

K.G.F:CHAPTER 2(2022年製作の映画)
4.6
前評判の通り、センセーショナルな出来栄え。
チャプター1は観ていないが、基本的を情報は押さえた上で観たのが良かった。ストーリーとしてはセットになっているので、登場人物、背景は理解しておく必要がある。

何といってもYashが演じるRockyの存在感なくして、この映画は語れない。圧倒的なカリスマを発揮する。
(Rockyのファッションにも注目!)
ラジニカーントやVijayのようにインド映画では、圧倒的なヒーローが求められる。これは、王国を起源とする歴史的背景もあるのだろうか。
日本でもハリウッドでも、「ヒーロー」は存在するが、それとは比にならない。

Rockyは、インド映画界(特に南インド)でヒーローに求められる人物像を兼ね備えている。
弱きを助け、権力に立ち向かう。そして徒党を組むのを是としない。
今回のRockyはそれに加えて、組織を作り、財力を蓄えるだけあって、クレバーな面も際立つ。

また、主役を惹き立てるのに重要な悪役の存在。
今回、ボリウッド映画界の大物俳優のSanjay Duttを抜擢したのは大正解。(因みに、このSajyay Duttの生涯を描いた映画が「Sanju」(2018年))

Neel監督はインタビューで、この映画のテーマは「Mother-son story」であり、「Human Element」が一貫している、と語っている。
また、「Emotion」という言葉も何度か使っている。
Yashは、インタビューの中で「Hope」を挙げていた。
まさに、Rockyはメシアなのだ。
確かに、この映画はViolenceに溢れているのだが、それが嫌味に感じないのは、監督の言う、「Human Element」があるからだろう。

今回、KGF2の大ヒットは、カンナダ映画のインドにおけるナショナル化、グローバル化を促した、という観点でも重要。
カンナダ映画には質の高い映画が多くあったが、KGF2はローカルの壁を越えた初の映画といっても良いのだろう。
ボリウッド映画出身の俳優起用もそうだし、インド政府との対決を描くところでも(スケールが大きい)、ナショナル化を相当意識した作りになっている。
このところ、テルグ、タミルを含めた南インド映画にて大ヒットが続き注目を集めているが、これはインド映画界全体にとって良いことに違いない。
↓関連記事
https://www.bbc.com/news/world-asia-india-61118482?fbclid=IwAR2O1CuAtOmwQKX7j4DIqgMn1JxFa0eSJezy-bWkNOTyVvHCs4-kqlApoQI

音楽も効果的だし、主題曲でもある「The Monster Song」はGood!

“Violence, Violence, Violence, I don’t like it, I avoid, but Violence likes me, I can’t avoid.”
Jun55

Jun55