ぶみ

エル プラネタのぶみのレビュー・感想・評価

エル プラネタ(2021年製作の映画)
3.5
みんな飾って生きている。

アマリア・ウルマン監督、脚本、主演によるアメリカ、スペイン製作のドラマ。
家賃滞納で、アパートを追い出される寸前ながら、見栄え良く生きていこうとする母娘を描く。
ウルマンと、実の母親であるアレ・ウルマンが作品中でも親子を演じているため、そのやりとりは自然そのもの。
スペインの海辺の町、ヒホンを舞台として、全編モノクロ映像に、黄色の字幕という何とも斬新な映像で切り取られる日常風景は、ドキュメンタリーを観ているようであり、アート系の作品と思いきや、着飾って出かける表の顔と、生活に困窮しながらも明るく生きていく裏の顔をきちんと描いた社会派的側面も併せ持っている。
そうこうしているうちに、辿り着いた結末は、ある意味衝撃であり、切れ味鋭い何とも言えない潔さを見せてくれている。
エンドロールのカラフルさと言い、チープさ漂うシーンの切り替わりと言い、そこはかとなく漂うシュールさと現実をモノクロというオブラートに包みながら、いつまでも観ていられる空気感が堪らない一作。

金持ちは一般人と同じ活動を嫌う。

※本作品をおすすめ頂いたkussy755さん、ありがとうございました!
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