3話とも会話メインで話が進んで、多くの言葉が交わされるけど、すらすらと頭に入ってくるので見やすかった。
1話目の3人の演技の力量がすごくて、映画を観てるのに良質な小説を1ページ1ページめくってるような気持ちになったし、すごく心地よかった。連ドラでもいいんじゃないかと思ったぐらい芝居の密度が濃かった。
古川琴音さん玄理さん中島歩さんのトライアングルがすごく共鳴しあってた。
2話目は淡々としたトーンでの言葉のやり取りがかえって役者の表情や場の雰囲気を際立たせていたと思う。
会話メインと思わせておきながら反転させられたような上手さを感じた。
1話目のインパクトをずっと引きずったまま3話目も観ていたけど3話目の意外な展開とラストシーンに全て持ってかれた。
「清宮さん」という何気ない記憶違いもしっかり伏線となって話が展開するし、いろんな場面がしっかりしっかり糸を辿るように繋がっていくのにも感心した。
ラスト前、エスカレーターを下るあやの後頭部のアップの「何かもう1つ起こりそう感」からの引き返しとラストシーンはすごくいいなと思ったし、切なさも漂っていた。
そしてどの話もしっかりと『偶然と想像』が描かれているのもいい。
どこか比喩的だったり、1つの話の内容をピックアップしたわけでもなく、またすごく突拍子もない話でもなくいろんな『偶然と想像』だった。
オムニバスものはつい『世にも奇妙な物語』のことが頭に浮かんでつい比較したり構えちゃったりするけど、この作品はまた違ったオムニバスの視点だと思った。
また3話とも直接セリフとしても、また雰囲気としても『エロさ』が絡んでくるけど、それは下世話な下ネタではなく、かといって官能的でもなく、響く人には響くエロさなんじゃないかなと思う。
3話目の仙台のエスカレーターは私もたまに行く所なので、聖地巡礼じゃないけど、次また昇り降りする時、この映画のことをきっと思い出すだろうな。
