chanmasu

偶然と想像のchanmasuのネタバレレビュー・内容・結末

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

題名通り偶然と想像を纏わる3遍で構成。
1話 中島歩と古川琴音が良い!ファンになりました。車内でエッローとか言って惚気話してるのいい。で、古川琴音が中島歩のオフィスに行くんですがここがもう面白い。古川琴音によって中島歩の仮面が剥がされていく。そして唐突に、自然に、でもしっかりこっちを向いて古川琴音が話しかけてくる!
あなたは信じてみる気はある?と(違うセリフだったらごめん)。ビックリするし、こんな体験他の映画で無い。これが魔法ですよ。
濱口竜介は魔術師だと思う。どうやったらこんな映画撮れるの!軽妙なやり取りの数々に笑う。で、後日そのグミちゃんと古川琴音がお茶してるとこに通りがかるんですよね彼が。偶然。そして古川琴音は思いの丈をぶちまける...かと思いきやそれは想像だった。
ズームが入るのだけどタランティーノがよぎりました。会話の心地よさ。
2話 渋川清彦のおじさん教授とセフレカップル。ペニス多すぎな村上春樹モチーフ?な朗読笑う。何聞かせられてるんだ。オナニーすると約束させられる教授。ここだけ書くと俗すぎだけどそれを真面目な顔でやっているのだから面白い。セフレカップルの女性がメールの宛先をsegawa とsagawa打ち間違えて、違う人が見てしまい流出笑。そんなわけあるか笑 5年後再開。偶然ですね。バスで。彼は出版で本は読まないのに文学の編集部に。どうせ売れないからなーとぼやく彼。
文化の衰退?指摘されているようで耳の痛い話です。キスして降りるのはズルい。そのままバスはトンネルへ。トンネルがいいですねー。
3話 これ凄い。話が突飛で一番面白かったなー。エスカレーターの使い方よ。すれ違ってお互いまた乗り直すんですよ。当然またすれ違う。ありそうでなかった使い方かも。
で、家に行くんだけどなんと人違いだという。で、そうだとしてもこの偶然をみすみす逃したく無いからその子の役をやると言う。
役で役を演じる訳です。するとこれが真実味を帯びてそう見えてくる。で、満足して送ってくれるという。で今度は逆にボーイッシュな方が役やってくれると。この辺でとても印象深い台詞が。何者にもなれたはずなのに、時間だけが過ぎていった。過ぎてしまった青春ってこの事でしょ。演じながら本音が出てくる瞬間がある。そこが面白いと前何かで濱口監督が言っていた気がする。まさに。
この映画はそんな瞬間が時折舞い降りる。
映画がこちら側に問いかけてきたり、俳優が役を抜けてくるような所がある。そんな映画はあまり無い。これは何回観ても発見がある気がする。意味が込められて過ぎているというか、そこにある豊かさを掬いきれない。
だって感想さえ上手く纏まらずにこんなに長文を書かされてしまうから。
何度でも観たいと思える映画、そうそう無いですよ。濱口竜介にはまたひれ伏せられた。
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