『 人は、人を、赦せるのか。 』
…というテーマを、こんなにも静かに、しかしながら生々しく描いた作品があっただろうか。
ほぼ、ある一つの部屋に閉じこもった4人の会話のみで構成された作品。
… にも関わらず、弛れることなく、それどころか緊張感を保ったまま、登場人物それぞれの悲哀、絶望、喪失感、やり場のない気持ち… に、心震わされながら、スピリチュアルとも言えるラストシーンに至っては感泣を禁じ得ないのは、緻密に考えられた脚本の妙に尽きると思う。
俳優でもあるフラン・クランツは、この監督デビュー作品で、すべての無駄なものを削ぎ落とした、ある意味ストイックの極地ともいえる方法で撮っているのだが、(回想シーンや映画的エフェクト、音楽での演出一切無し。)それは、そうすることによって、残された事件の被害者家族、加害者家族へ敬意を表したかったのだそうだ。
そのことによって、観ているものの心を最後まで震わせ、そして観終わった後もずっと考えてしまうような、崇高な作品に仕上げることに成功している。
その、素晴らしい脚本を演じるベテラン俳優4人も見事だった。