ムック829

秘密の森の、その向こうのムック829のレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
3.9
亡くなった祖母の家の片付けに訪れた8歳のネリー。かつて母が遊んだ森で、母と同じ名前の少女に出会う。

「燃ゆる女の肖像」に衝撃を受けたセリーヌ・シアマ監督の最新作なので楽しみにして鑑賞。
たった73分という上映時間を知らなかったので、「ここで終わり?」と呆気にとられてしまった。
しかしその後じわじわと噛みしめるように感情が沸き起こり…。
ラスト、家族にさえ言い表せない母の悲しみをネリーの一言が優しく包み込むんです。
たった一言。それで全て伝わるのが素敵。死についてどうこうよりも、とにかく娘の優しさが凄い。

しかしこの映画、すんごーーーく眠くなるんですよ。ひとつひとつのシーンは美しくて目を引くんですけどね。
壁の模様、タイルの色、ベッドの電球などなど。でもすんご~~~く眠くなる。
やっぱりBGMが無いせいかな?それかあまりにも穏やかすぎるせいか。

好きなのは冒頭のシーン。車を運転する母に、後部座席からお菓子を食べさせてあげるネリー。
この時の母の表情がたまらないんですよ。これだけで二人の関係性がバッチリ分かってしまう。
娘の優しさが染み入る、登場人物みんなが愛おしい映画でした。
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