はる

秘密の森の、その向こうのはるのレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
5.0
大好き!!

セリーヌ・シアマの前作『燃ゆる女の肖像』も素晴らしかったのですが、こちらのほうが個人的には好みでした。共感しやすかったというのもあるかもしれません。

ざっくり言ってしまえば喪失から踏ん切りをつける物語。年端も行かぬ少女がおばあちゃんを亡くしてからの数日間に起こった不思議な出来事。壁紙の柄や杖といったアイテムのさり気ない使い方のセンスやキャラクターたちの自然体なやり取りの数々にはふとした瞬間にグッと来てしまいます。

一番一緒にいて欲しい時に母親は居ない。すると森で幼い頃の母親に出逢い心を通わせていく二人。母親も自分と同じ歳で祖母を亡くしていたり病気を抱えていたりして、本来は自分が辛い時期であるはずのネリーが母親に対して励まそうとするのがまた美しい。二人のお芝居ごっこやケーキ作りのシーンもナチュラルな演技力もあって良いんですよね。過去のおばあちゃんに「さよなら」を伝えられるシーンは予想はしていたものの感動しました。本作のタイムスリップはひょっとするとネリーの空想のようにも見える絶妙なラインなのも良いと思いましたし、感情をあまり表に出さない二人への演出も的確だと思いました。73分という尺でしっかり感情を揺さぶってくるセリーヌ・シアマ流石です。次回作も楽しみに待っています!
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