ボーはおそれているのtagomagoのネタバレレビュー・内容・結末

尖ってるなと思う。理解しようと努めるけどそれには支離滅裂すぎる。「君たちはどう生きるか」を見ている感覚に近い。かなり混沌としている映画だったけど笑えるコメディ映画でもあった。怖い状況に追い込まれているけど可笑しみが滲み出るのはシャマラン風味あり。3時間もあったけどあまり長さは感じなかった。

アリアスター監督に一貫性を感じるのは家族は不気味な集合体であるということだろうか。本作は母と息子の関係が拗れに拗れた結果、作品自体もねじれにねじれて絡まったまま解こうともせずそのまま出してきた感じだから余計に具合が悪い。間違いなく母に原因があると思うのだが。何か疾患を抱えた主人公を据えて悪趣味なトゥルーマン・ショーを展開すると思いきや、薬物を随所に織り交ぜてくるため何が現実で妄想なのかも考え込ませる結果になっている。その虚実皮膜を楽しめるかが鍵なのたが、確かにホアキンが酷い目に合うのは楽しくて、見上げたら必死で人が天井に張り付いてる絵とかランボーみたくアクション映画になるところとか。中盤の長いアニメ風な将来の自分を夢想したそのオチとか。決定的なのは父親の正体。あれはあまり経験したことのない映画体験で久しぶりに唖然とした。その唖然とした様を楽しんだと言っていいのか。でも間違いなく主人公同様にトリップしていたかもしれない。そう言い切りたいのはこの主人公に少し共感するところもあったからかもしれない。あの心配性や受け身な感じ、何か決定的なことを言ってしまうような恐れというのは私にも感じ入るところはあるかもしれない。