ゆきゆき

ボーはおそれているのゆきゆきのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

親との関係に悩んでる人、親が死んだら解放されると思ってる?残念、永遠の悪夢の始まりでした。母親を亡くしたことで戻れぬ地獄を進み続ける羽目となるボーの物語。

冒頭数分で「あ、これ最悪なやつだ」と思わせてくれる監督の手腕はさすが。親と喧嘩したまま死別した話って良好な親子関係でもキツイのに、それが支配的な母親相手だったら・・・。

事故の末にボーに救いの手を差し伸べてくれた夫婦。しかしその家庭もまた別の地獄を抱えていて・・・。息子を亡くしてその代わりの男を世話し、娘を顧みないあの家庭も遠からず崩壊していくのだろう。

ボーの旅が始まった後の展開はひたすら不条理の連続。どこまでが本当でどこまでが夢なのか。旅の果てには安息などなく、理想の父も愛した恋人も幻となり、ボーは自らを責め続け底なしの海へと沈んでいく。

そもそも物語の開始時点でボーが1人暮らしをしている理由も不明。ボーの自立を許さない母親がなぜ彼の1人暮らしを認めているのか。実は最初からボーの見ている悪夢の中だったのではないか。映画冒頭の飛び降り自殺者はボー自身で、この話全てが彼の今際の際の夢なんじゃないかと思ったり。

3時間たっぷりの不快感てんこ盛りなので、心身の体調が良い時に見れて良かったです。
ゆきゆき

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