キョン太

ボーはおそれているのキョン太のレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.6
監督はどうかしているよ。良い意味でも、悪い意味でも。不安のジェットコースターみたいな映画で三時間。
でもすごく、めっちゃ好き。

漠然とした不安から絶対に嫌なこと、耐え難い苦渋などなど、不だけで作った豪華五段重みたいな映画だった。
嫌なものだけを丹念に丁寧にきれいな形にして、美しく時にはワイルドに仕上げて詰め込んである。

その嫌なものすべてに、覚えがある。
日常で感じたり、ドラマや映画で見たり、夢に出てきたり、こうなったらどうしようと悩んだことだったり。
だから嫌なのに食べれちゃうし、見事な腕前ですねと思う。
嫌な気持ちになって欲しいとアリ・アスター監督がインタビューで語っていた通りになり、それなのに嬉しい。
人間は不思議だ。

ホアキン・フェニックスの声がボーのキャラクターに本当にぴったりでね。
あと、劇中劇はマジで笑った。声でちゃうところだった。
人は選ぶと思うけど、日頃心のどこかに不安を抱えている人なんかにはいいかもね。自分だけじゃないんだと思えるかもしれないから。
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