アニマル泉

エッシャー通りの赤いポストのアニマル泉のレビュー・感想・評価

4.0
園子温の最新作。主人公なき群像劇だ。出演者オーディションで映画を作る騒動を様々な人達の視点から描く。赤いポストへ書類審査の投函、オーディション、撮影本番、という大まかな流れが、それぞれの立場から何度も時間が反復して描かれる。本作には死に取り憑かれた人々が沢山出てくる。映画監督の小林(山岡竜弘)も創作に苦しんで妄想に取り憑かれる。恋人の方子(モーガン茉愛羅)に秘密がある。園は荒っぽいがパワフルだ。生きる力を煽る。ラストは渋谷のスクランブル交差点でゲリラ撮影して、警官の手でカメラがマスクされて終わる。
しかし本作は出演者が素人が下手すぎる。これは致命的だ。素人を起用するのは素晴らしいが、ワークショップで徹底的に鍛えなければ企画倒れである。そして映画愛を感じない。園はどこか傲慢だ。ジョン・ウォーターズの「セシル・B/ ザ・シネマ・ウォーズ」は無茶苦茶だが純粋な映画愛が貫かれている。映画に謙虚であるべきだ。映画を利用するな!園にはブニュエルのような映画作家になって欲しい。
アニマル泉

アニマル泉