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こんにちは、私のお母さんのKSatのレビュー・感想・評価

こんにちは、私のお母さん(2021年製作の映画)
3.3
母親思いだけど何をやってもダメダメな暁玲と、どこか報われない人生を送ってきたお母さんの煥英。ある時、煥英は事故に巻き込まれてしまう。

母を思い続ける暁玲。しかし、彼女は突如時空を超え、次の瞬間、文革から5年が経った世界に落ちる。そこにいたのは、まだ麗若い、自分の母になる前の煥英だった。

80年代の中国にタイムスリップし、何とかして若い頃のお母さんを幸せにしてあげようとするヒロインの奮闘を描いたコメディ。

中国の人にとっての1980年代は、とにかくノスタルジーの対象として見られることが多いようだ。これは、日本人が昭和30年代から40年代(1960年代後半)をやたらと懐かしがるのによく似ている。そういう意味ではこの映画は、中国における「ALWAYS 三丁目の夕日」なのかもしれない。

80年代の中国と、60年代の日本。どちらも工業化によって国が発展し、まだまだ皆貧しくも希望があり、人々はテレビを欲しがり、バレーボールに夢中になった点ではよく似ているが、もちろん全く似ていないところもある。中国と日本は、それぞれにとって約15年周期で差があるパラレルワールドのような不思議な関係にあるのではないか、と感じた。

ただし、正直、映画として面白いかといわれると、ちょっと微妙。繰り出される笑いも、盲目ネタやハゲネタ、下痢ネタなど苦笑を禁じ得ないものが多く、あまり上手いとは思えない。まあ、バレーボールのメンバーが集まってくテンポ感はオモロいけど。

また、メンツや見栄を重んじて争ったり嘘をついたりする感覚や、結婚相手や学歴、出世とかにこだわる様をまざまざと見せられ、泥臭くてちょっと困惑してしまった。

だが、それら全てが伏線だったかのようなラストのどんでん返しと、普遍的な深い母子愛の様、そして、あらゆる人をそのままの姿で肯定していくような感覚は、不覚にも感動して泣きそうになった。ぶっちゃけ、昨日見に行ったバービーよりオモロいし、肯定してもらえた気分になれた。こりゃ、ヒットするわな。
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