久しぶりに石井裕也監督の作品だなぁって良い意味で思った。
「川の底からこんにちは」と「町田君の世界」の良いとこ取りみたいな作品。
でも初めは理不尽さの波状攻撃で見ているこちらもたまらない。出てくる人みんな信用ならない。誰も彼も田中親子を助けてくれる人はいない。
被害者なのに…最初の認知症官僚の事故なんて、まだ記憶も新しい池袋の事故を思わせられるし、もし、あれが映画のように母子が残されたなこんな窮状もあながち誇張ではないと身震いする。
それに何と言っても、被害者のオダギリジョーがダメ男過ぎて被害者なのに何かムカつく。何がトップのトップだよ。残されたメンバー見ても売れる要素ゼロ。むしろ気持ち悪い。
そんなダメ男に心底惚れたオノマチはやっぱり前衛演劇の女優らしく息子にはなかなかその母の姿はとてもわかりにくい。笑
でも女優設定らしいけど、今のオノマチにはそのカケラは微塵もなく、冴えない中年に差し掛かったくたびれたおばさんにしか見えない。その風情で風俗嬢を演じるから悲哀しか無い。
もう本当にトコトン理不尽のオンパレード。
でもケイちゃんと店長の活躍で俄然面白くなる。この2人がいなかったらただただ理不尽な映画で終わったと思うけど、石井裕也がこんな終わり方はしないだろうと思いつつケイちゃんの人生に涙目になっていた。それにしても店長はヤクザでもいい人だった。
土手を自転車で2人乗り乗り田中親子のほのぼのシーンで終わりかと思わせての最後の一人芝居。
椅子からズリ落ちそうになった。笑っていいのかひいたらいいのかビミョーだけど、何かこのクオリティーの低いあえてな演出。石井裕也監督の本領発揮とみた。
最後は笑って終わって良いのだろうか？それさえもビミョーだけど何か面白スッキリな気分。
格差に弱者に理不尽のオンパレードながら、じゅんぺい君の未来に一発逆転を期待したい。ケイちゃんも生きていて欲しかった。
渋谷のセンター街から自転車盗んで帰る団地と川原の土手。生活圏の距離感が全然理解できないけどま、そこはこだわらなくて良いのか。
ただ最後に一言。タイトルがダメすぎる。
