シガーandシュガー

怨霊の棲む家のシガーandシュガーのネタバレレビュー・内容・結末

怨霊の棲む家(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

曰くのある家に引っ越してきたジュリアとシャーロット母娘が、「家」に憑いているという悪魔に苦しめられる。かつてその「家」に同じように苦しめられた医者ジェレミー、事情を知る神父がエクソシストに臨む。

「怨霊の棲む家」という邦題だったので、「家」に曰く因縁があるのだと期待していたので肩透かしだった。
原題は"A Demon Within" だそうなので家そのものに何かがあったというより悪魔が単に入り込んじゃった家という感じなのかな。悪魔が家に入り込んじゃうキッカケが、登場人物たちの想像程度であってもいいから示唆されているとよかったかも。

他のエクソシスト作品に比して新しいものは無いけど、母娘の関係はまずまず描かれていたので、突然に理由の分からない状態に巻き込まれた戸惑いは理解できた。
シャーロットに悪魔が取り付くのが早くてわかりやすかっただけに、医者ジェレミーの過去や立ち位置ももっと早く披露して、シャーロットの悪魔憑き描写やシャーロットの犠牲者を描いてもよかったかも。もっとも先日見た「女神の継承」ほど悪魔憑きの描写が長くてしつこいのも飽きるけども、そこはまあほどほどに。

エクソシスト場面と悪魔のパワーもぬるかった。エクソシスト中にジェレミーの娘マディーの幽霊が出てきたところはちょっと噴飯もの。マディーの幽霊の出現は悪魔の煽りで、そこでエクソシストが頓挫するのがセオリー(神父が前フリしてたのだし)では? というより本当に娘の霊だとファンタジー度が上がってしまうので良くないと思う。

まあエクソシストの儀式というのは多くの映画で描かれているのでなぞる程度でも問題ないし、弱い悪魔がいても別におかしくない。儀式がグダグダなのがリアルともいえるし、悪魔が対象者から出ていったかどうかよくわからないのもリアルと考えて、作品を「ありそうだな」と思わせるなら筋は通ってる。
が、マディーの幽霊と亡妻オリビアが悪魔になって出てきちゃったあたりで、適度にあった「リアルな手触り」が無くなってしまった。
神父が急に「壁にかかっている家の絵」が元凶だと気づくところもなんで気づいたん?と思うし、家の絵を破壊するというクライマックス部分もメリハリがなくてただ流れていってしまう感じ。
メリハリがなくグダグダなのは、リアルに、と通せば一貫性はあったかもだけど、CGを使って悪魔(オリビア)を出しちゃった点でテイストがごちゃごちゃになってしまった感じ。

強いて怖かったところをいえば、ベビーシッター中のかくれんぼかな。シャーロットが冷蔵庫の上から見てたりドア枠の上からシルエットが垂れてきたりするのはなかなか良かった。ハッキリ見せずにぼんやり煤けたように見せる「怖いモノ」はヘレディタリーでビビりまくったけど(怖さは段違い)、この作品でも似た撮り方で、でもこちらのほうが公開は一年早いのだな。公開時期の問題だけかもだけど。

ラストは蛇足かなー。