シガーandシュガー

女神の継承のシガーandシュガーのネタバレレビュー・内容・結末

女神の継承(2021年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

※壮大にネタバレしています※




タイのエクソシストかと思いきや、ゾンビテイストだった。
前半は、霊媒師のニムに密着する形のドキュメンタリー風。それがとても良かった。ニムは霊媒師の家系で、継承する娘はバヤン(神)によって選ばれるもの。でもニムの姉はそれを拒否。代わりにニムが霊媒師となった。なんて設定は非常に興味深く、のちのち姉がバヤンを拒否したことが問題になってくるところも面白い。非常に期待して鑑賞。
ニムの姪・ミンに奇行が出始め、それが”霊媒師の継承”→”バヤン無関係、自殺したミンの兄のせい”→”ミンの父方家系を恨んでいる複合体の悪霊”、までの流れも面白かった。ニムの活躍に期待がさらに盛り上がる。

が、ミンが悪霊に取り憑かれてどんどん好き放題しはじめ、それを隠しカメラで撮影している、というテイが出始めると新鮮味が乏しいので一気にダルく感じ始めてしまい、物語も並のホラー感に落ち着いてしまう。
ミンの奇行は見せ場なのかもしれないけど、(演者)頑張ってるなーと思う程度で、まあ長い。ここが長いことによって「ニムたちの悪霊祓い準備が整っている」という期待を鑑賞側に抱かせる役割があるのだけど、飽きてしまったなーと思っていたところにニムの突然死。
ちょっと面食らうけど、ここから仕切り直しか?と、ニムと悪霊祓いをすすめていた同士が弟子たちを連れて大掛かりな儀式を行っていく流れに再度期待が盛り上がったりする。
が、それが失敗に終わって、みたび悪霊に攻勢を仕掛けるのは女神を拒否した過去のあるニムの姉(にしては様子がヘンだけど)。。。盛り上がるか?とまたまた期待したのだけど。。。
ラストどうなったのかな。ミンと悪霊ともども、全員焼死? 理性を失った弟子たちも工場跡地に集まってたし、全員さっぱり焼き払われておしまいかな? 因果関係のあるゾンビ映画を観たような感じ。

ニムが良かっただけにもったいないし、バヤンをもっと掘り下げるべきだったのではないかととにかく残念。バヤンの像が壊れてたところとか、重要なのでは?ものすごく期待したよ?
ニムがバヤンの存在、あるいは自分がバヤンと繋がっていないというおそれ、そのあたりもあんなチラッとではなく描いて欲しかった。綺麗事だけど、信仰を持つ人間が窮地に陥ったときに見せる強さは鑑賞者に希望を与えるものだから、個人的にはあってほしいもの。
が、この作品は悪魔祓いの話ではないと思うので、希望がなくてもやむなしか。

タイという土地柄と、霊媒師という設定に期待を込めすぎてしまったけど、普通のホラーだと思って観たほうがよかった。