シガーandシュガー

ブラッド・チェイサー 呪術捜査線/ブラッド・チェイサー 沈黙の儀式のシガーandシュガーのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

このパッケージと邦題は齟齬を生むよね…

イタリアで猟奇殺人事件が起き、マリオ刑事は犯人を追い詰めるが部下を殺された上に逃げられてしまう。
犯人は活動場所をアメリカに移し、そこで再び(実際は何度目か)猟奇殺人を繰り広げる。刑事のルーカスは、娘の死に苦しみながら捜査を続ける。
捜査の過程でルーカスは南アフリカの呪術信仰の専門である大学教授に話を聞きに行くが、そこでこの事件が南アフリカの呪医が犯人であると検討をつける。どうやら呪医は高額な報酬を得て、依頼主のために殺人を犯し人体の一部を持ち去っているらしかった。

イタリアとアメリカという2つの舞台、2人の刑事、合同捜査になりそうでならず、マリオ刑事よりルーカス刑事のほうが描写が深いがマリオ刑事も印象が強すぎて活躍を期待してしまう(活躍しない)。
大学教授も重要な役柄ではあるがそれほど出しゃばらないので、結局ルーカス刑事に感情移入して見ていくことになる。
のだが、ルーカス刑事の娘の死が幾度も映像で入ってきたり、亡妻の幽霊(幻?)のようなものまで出てきてオカルトもあり?と思わせられる。でも殺人犯はパルクールの選手ばりに高い身体能力で街を逃げ回るのでクライムサスペンス色もちゃんとある。
どう観たらいいのか考えてるうちにルーカスたちは呪医に迫る。その過程があまり緻密な捜査の結果とは言えないけれど、そこが見どころじゃないんだなということは見終わってわかった。

見どころは呪医とその依頼者(黒幕)の犯行をルーカスと教授が止めたところ以降で、教授がこの事件のキーマンだったことが判り、さらに、教授が呪医を追い詰めて殺し、その遺体の一部をルーカスとマリオに送りつけたところがクライマックスになる。
この送り付け行為は、中盤に教授がルーカスに伝授した「南アフリカのある部族では、身内が他部族で迷惑を起こした場合、身内を殺してその体の一部を謝罪の意味を込めて差し出す」という説明に繋がる。で、差し出す部位に意味があったかどうか分からなくて(ちょうど中座してしまった)無念。
もし意味があったとしたら、ルーカスが差し出された「謝罪」を「食べた」ことにももっと膝をうてたかもしれない。
それにルーカスの最後の表情は、教授からの「謝罪」を受けたというよりは闇堕ちしたとも思えるようなものだったけれど、闇堕ちとするとルーカスの娘の死が繰り返し描かれたこと、亡妻の幻まで出てくることなどの不穏な感じがここに繋がってくる。
そしてイタリアのマリオ刑事の存在はルーカスとの対比で、マリオは(呪医について知らないということもあり)同じ事件を追い、同じ謝罪を受けているけれど闇落ちはしないだろうと思われる。アレを食べるとか出来ないだろうし。この対比が要るかどうかはわからないけれど、ルーカス刑事の危うさが際立ってくるとも言える。ゆえにイタリアパートはあっても良かったのだな、と。

とりとめなく書いたけどメモとして。見返してみると見逃した部分が繋がるかも。

マリオ刑事のジュゼッペ・ゼーノは「ブランカのデコダージュ捜査」「マテーラの検察官 インマ・タタランニ」で見たのでイタリアでは有名な俳優なんだろうな。