このレビューはネタバレを含みます
片目の潰れたお岩と、ミイラ男の目玉おやじ。
墓場鬼太郎へシームレスに繋がりましたね…。
この世に独りぽっちで生まれ堕ちた鬼太郎を心配するあまり、目玉だけの姿になって蘇ったおやじさん。
その息子への愛を示すバックボーンは有名なので知っていましたが、今作のラストで私利私欲に塗れた時貞翁の業のせいで狂骨が日本を跋扈しそうになった場面。
この場面は言わば完全に人間側の都合で、ゲゲ郎たち幽霊族にはなんら責任もない上、むしろ被害者であるはずなのに、息子がこれから生きる世界を明るくする為に、一身にその闇を背負うという父親としての器のデカさ。
目玉おやじが本当に愛に溢れた強い父親であることが分かるエピソードであったので、とても胸に沁みた。
横溝正史作品のようなホラーな雰囲気でありながら、途中ゲゲ郎と鬼道衆との白熱したアクションシーンもあって楽しかった。
妖怪が僕らの目に映らないように、僕らの見えない所で時貞翁のような吐き気を催す邪悪がこの世の裏にへばり付いてんのかと思うと気持ち悪いし叫び出したくなるけど、目玉おやじみたいに自分の息子が歩く道くらいは明るく照らしてやりたいと思う。
ぼくまだ結婚すらしてないけど。
