MakikoSato

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のMakikoSatoのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
3.5
子供の日に鑑賞。八つ墓村と妖怪アクションの融合。ストーリーも絵も結構グロいので、子供向けでは全然なかった。

殺人事件、薬品M、怪奇現象、ゲゲ郎の妻、折り重なる幾つもの謎はさして主人公達の知恵や努力と関係なく、スルスルと解けていく。それは子供向けアニメ風。但し、明かされる真実は余りにも救いが無く大人向け。社会風刺もしっかり効いているところは原作リスペクトか。強いモノが弱いモノを食い物にして、蹂躙し、捻り潰して、良心の呵責もない。その構造や醜い心の有り様は戦時中から現代に至るまで消えて無くなることはない。全編通して一番恐ろしくグロテスクなのは、妖怪では無く人間。ラスボスの甘言に乗らず、斧を振り下ろす水木だけが希望の光。出生の影にこの男があったからこそ、鬼太郎は人間社会に理解を示せたのかも知れないね。

ゲゲ郎と水木のバディ感もいいし、個人的には狂骨のデザインがカッコよくて気に入った。今風のエンタメと、水木しげるのスピリッツが素敵に融合された秀作でした。