方眼

ノーカントリーの方眼のレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
4.2
2007年”No Country for Old Men”。鹿を撃ってるモス、ハイエナのように麻薬組織の殺し合い現場から大金と銃を持ち逃げ。キモい長髪でユーモアのない殺し屋シガー、狼のようにモスを追い、道中の無差別殺人はコイントスで決める。語り手の保安官ベル、狩猟犬のように二人を追う。さらにバウンティハンターのウェルズ、コヨーテのように二人を追う。薬莢を拾う、札束が入った黒バッグを隠す、モーテルの部屋を選んで移る、証拠となる弾丸なしで人を即死させる、鍵のかかったドアを一発で開ける、現金の在り処を見つける、サイレンサー付きライフルで撃つ、逃げる、国境を超えてまた戻る、怪我を手当する、血を追う、血を洗う、ブーツを買う、服を買う。フレンチノアールのような殺人ダンドリ描写がもうお見事で、二人の対決はどうなるどうなると緊迫しつつ観る。国境の麻薬問題、欲と金、そもそも古い人にはわからない殺人。映画表現でも、わからなくなるように作ってあり、終わって見ればアメリカという国とその建国の拠り所となる聖書の話しで、他作よりユーモア薄め暴力多めだがまごうことなきコーエン節。誰から始まり誰で終わるか振り返ると、ベル(保安官の無情)/シガー(死神の理由なき殺人)/モス(小者の逃避行)の三層入れ子構造であることがわかる。アクションスリラーを否定したアクション。
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