マサラ

ライダーズ・オブ・ジャスティスのマサラのレビュー・感想・評価

4.3
「人生は不確かなものだ」という冒頭のセリフが軸となって、自分ではコントロールのしようがなく、どうしても受け入れ難い「現実」という名の歯車に理由をつけるべく、数字(=神)を以って答えを導こうとする学者軍団。そしてその思い込みによって振り回される人々。僕たちが生きているこの社会の中では、人と人とのささいな会話や行動が限りなく無限の選択肢の中で相互に作用しており、どんなに優れた性能のコンピューターが叩き出した高確率の「事実」も、この社会が作り出した「偶然」の前ではただの「仮説」にすぎない。極めて偶発的に起こり得る「現実」に理由をつけるべく、人間は確率という名の神を信じて縋りつき、その確率から外れた物事に「偶然」と名前をつける。学者自らの「自分の身に降りかかる現実は予想できないんだ」というセリフの二重の皮肉と銃撃の渦に呑み込まれた後、幻みたいなエンディングでなぜか涙してしまう。緊張と緩和。素晴らしい傑作!
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