Punisher田中

ライダーズ・オブ・ジャスティスのPunisher田中のレビュー・感想・評価

4.2
妻を列車事故で亡くした軍人のマークスは、進行中の任務を離れ、娘の下へ帰国する。
悲しみに暮れる2人だったが、彼の下を二人の男が訪ねてくる。
そのうちの1人は妻と同じ列車に乗っていたという数学者のオットー。オットーは、“ライダーズ・オブ・ジャスティス”と呼ばれる犯罪組織が事故を引き起こしたとマークスに告げ、証拠資料を見たマークスは怒りに打ち震える。
妻の無念を晴らすためにオットーらの協力を得て復讐を誓うマークスだったが...?!

デンマークが贈る、不思議なバランスのリヴェンジェンス物。
妻を殺された男が復讐に走る...だけでは無く、それぞれ違った傷を持った男達が主役となった今作。
あらすじから分かる通り、血生臭い作品だと感じるだろうが、決して""復讐""をメインに描いているわけでは無く、心に傷を持った者達が自分につけられた""心の傷とどう向き合うか""について描かれている作品のように感じられた。
それと同時に、社会批判の様な物も幾つか散見されたりと大味なリヴェンジェンス作品だったはずが、いつの間にか繊細なヒューマンドラマ作品へと一気に昇華していく大胆な舵の切り方は見事。

今作もマッツにしか出来ない繊細な表現がふんだんに詰め込まれており、更には無骨なアクションも見れるのだから、マッツファンには言わずもがなだが、今作でしか見れないマッツの表情があるので必見の作品となっている。
勿論、マッツの魅力のみでなく、バイオレンスながらもクソ広い平野にいつも曇り模様の空で牧歌的になっており、そこへ欧州作品特有のショットの美しさが加わったことで、独特な雰囲気を感じられる物に仕上がっている。こういったストーリーと乖離したカメラワークが凸凹感を生み出し、今作をちょっとばかしヘンテコにしているんだけども、そこが今作をブラックユーモアたらしめている部分に感じられる。
鑑賞後には「そっか、これは寓話なんだ。」と感じられる独特なラストや終盤の話運びは特に瞬き厳禁!!
残念ながら上映館は少なく、ミニシアターでしか見ることの出来ない作品となっているが、ミニシアターだからこそ楽しめる作品なので是非足を運んで見て欲しい。