《これは、奇跡の夜のお話》
めっちゃ好きなタイプの映画だ!
全然先の見えない展開に体を前のめりにさせられ、とっつきにくい不思議な仲間たちだなと最初は思っていたのに、いつの間にか大好きになっている。
無数のテーマが散りばめられており、重厚なヒューマンドラマとして完成度の高い作品だと思う。
それに加え、アクションシーンも非常に見どころが多い。
〜あらすじ〜
列車事故に巻き込まれたものの、偶然一命を取り留めたオットー。
しかし、その事故におけるあまりの偶然の多さに、必然的に起こされたものだったと彼は確信する。
一方、同列車の事故で妻を失った軍人のマーカスは、悲しみをぶつける場所に戸惑っていた。
オットーは「故意に起きた事故だった」とマーカスに伝えるべきだと考え、彼の元へと訪ねるのであった。
以下、ネタバレを含みます。
最初は、不思議な仲間との復讐劇だと思っていた。軍人のマーカスが、怒りに任せて銃をぶっ放すアクション映画だと思っていた。
しかし、本作はもっと大きなテーマを抱えていた。
偶然とは?
必然とは?
無数に存在する原因を模索する意味は?
何が贖罪になる?
マーカスにとっては、暴力がそれの代わりになるのか?
暴力が答えか?
暴力は何をもたらす?
癒しか、心の安寧か?
誰が何のために?
実は犯人など、、、
劇中にオットーが語ったセリフ
「問題を抱えた人間は集まるんだ。生きやすくなる。」
これが、この映画の本質のような気がする。
傷を抱えた人が集まった。皆んな助けが必要で、その方が生きやすいから。
これも偶然なのかもしれない。
だから、これは聖なる夜がもたらした奇跡の夜のお話。
皆んなが信じている奇跡の夜の裏側の話でもあり、そしてそれもまた奇跡の夜のお話だったのだ。