ゆきゆき

先生、私の隣に座っていただけませんか?のゆきゆきのレビュー・感想・評価

3.7
フィクションとして描かれたことが現実を侵食し、虚実入り混じる展開となる・・・自分好みな作品です。

佐和子は夫である俊夫に対して漫画を通して自分という存在を投げかけており、かなり不器用な女性であるように思えます。その一方で教官の新谷には感情豊かに接し、関係を深めていく対比。この演じ分けは黒木華すごいですね。そして俊夫のダメダメだけど、どこか憎めない感じをセリフひとつで表現してしまう演じる柄本佑もさすが。あのラストの一言は笑うしかないです。

劇中で佐和子が読んでいたり本棚に置いてある漫画は、いずれもファンタジー色強めな少女漫画ばかり。彼女が言う「農業ファンタジーを描きたい」は本音だったんでしょう。実は好きな漫画でさえ自分の好きなことを描けていないフラストレーション。漫画を通した復讐の矛先は本当に夫だけだったのでしょうか。先生の次回作に期待したいです。
ゆきゆき

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