GAMAKO

エンドロールのつづきのGAMAKOのレビュー・感想・評価

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)
4.3
特徴_________________

“光を学びたい”
映画好きの映画好きによる映画好きの為の映画
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ひとつの映画としてでなく『映画』という媒体そのものを楽しませてくれる素晴らしい作品でした!
主役のバヴィン・ラバリ君は初演技らしからぬ存在感と色気が、ヴィジャイ・ヴァルマ級でたまげること間違いなしですし、
さらにはこんなにリティクを拝める事になろうとは、サプライズにも歓喜しました笑

ところで、実は私も幼少の頃、
映画館に行くとスクリーンよりも、後ろの光を不思議に思いながら見ている子供でした。
いつしかそれが気にならなくなっている間に、フィルムはデジタルに切り替わり、
ふと劇場で後ろを振り向いてもなんの面白味もなくなってしまっていたことに少しガッカリした記憶があります。

いわずもがな、映画という文化も同じ時代を生きているのですね。

本作では、まさにエンドロールを迎えたその後の部分まで描かれていて、
大切な物をめちゃくちゃに壊された様な喪失感を幼い子供にまざまざと見せつけていますが、
失う寂しさの先にある喜びまでを網羅している構成に感極まりました。
「我々が大好きな映画はどんな形になったとしても、常に生活の中で身近に感じることが出来るんだよ」と教えてくれているような。
それは物理的なことに限らず、精神的にも。

サマイの豊かな感性を感じさせるラストシーンは本当に大好きです。

また、この作品のもうひとつの特徴は“光”。
赤い下敷きを目に当てると世界が真っ赤に染まったこと、
虫眼鏡で紙が燃やせたことにも、
あの頃はあんなに不思議で面白くてしょうがなかった。
作中の光と色を意図的に切り取ったカットは、
幼かった頃に感じたこのワクワクを
そのまま感じられるくらいに美しく、
何度も「いい画撮るなぁ…」と思いました。

パン監督の作品は、カーリー女神をモチーフにした薄暗い群像劇の「怒れる女神たち」しか拝見していなかったので、
こんなにキラキラな作品も撮られる事に正直とても驚きましたが、
今後も何かとチェックしたい監督の一人となりましたね!
だって、彼自身がサマイの成長のその先なんですから!

パンフレットも内容が大変充実していて、
オマージュとしてあげられている作品も全部観てみたいし、
美味しそうなお母さんの料理も食べてみたいし、
なんと日本では今回が初公開という新境地グジャラート映画「ドリウッド」ももっと色々観てみたい!
何よりも世界に溢れる映画をこれから先もずっとずっと楽しみたいと思わせてくれるので最高でした!

一番最初にサマイがサリーに映したフィルムがラジニ様だったことに引くほどニヤニヤしてしまった事は反省します👮‍♂️笑
GAMAKO

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