16の時から父親にスーツの仕立てを仕込まれて、それからずっと親子でやってきた仕立て屋の店。
時代の波に押されて、とうとう商売は立ち行かなくなり、父親も年老いて入院してしまいます。
もういい年になった息子は独身で、たった一人、父親と丁寧に築いてきた店をなんとかしようと考えます。
まじめで、冷静で、丁寧で、優しくて、仕立ての腕は確かな無口な息子。
彼のどんな仕草にも物に対する愛情が感じられ、見ていてとても穏やかな気持ちになりました。
何をするにも、スーツを仕立てるときのように一針一針丁寧に。
慎重に生地を選び、着る人に合わせたデザインを考え、体にしっくりと馴染む服を作るうちに、人や物への愛情を育てていったのでしょう。
お隣さん一家との交流が、いい塩梅の味つけになっていたと思います。
万歳🙌、とまではいかないけれど、どこもかしこもなんとなくバランスがとれたというか…。
こうやって折り合いをつけていくことの繰り返しなんでしょうね、人生は。