カメラではなく人物が自ら寄ることでズームインされる。クローズアップについてはジョージ・アルバート・スミスに先駆けるが、彼の作品同様、現代でいうところのクローズアップのもたらす効果や概念よりも「画面いっぱいの口」という珍奇な驚きを期待した娯楽要素が先立つ。
にしても口の中→呑み込まれる人とカメラ→ズームアウトする口 のつなぎが見事な上に、「呑み込まれるカメラと人」は擬似的に撮影者が呑み込まれている(そのメタ構造により観客の我々もまた呑み込まれる可能性のある存在になる)ことになっているのがまた面白い。