このレビューはネタバレを含みます
家族の中で唯一健聴者として生きている少女の話。とてもあたたかい作品だった。
家族と他の人との間に立って通訳のように生きてきた彼女が、自分のやりたいことを見つけ、恋をし、その歌声を届けようとする姿に何度も胸を打たれた。
そんな彼女と家族がどう向き合うのかがとても気になった。どれだけ心を込めて歌っても、大きな声を出しても、その歌声が家族に聴こえることはない。
それでも、まわりの人に合わせて拍手はできるし、表情から読み取ることも、喉に触れて振動を感じることもできる。
感じ方はそれぞれなんだよな、と改めて思ったし、視野が広がった。
音のない世界とはどんなものか。あまり考えた事がなかったので、終盤の音のない世界の演出がグッときた。
