トムヤムクン

コーダ あいのうたのトムヤムクンのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.5
長女のルビーだけが健聴者であり漁業を生業とするロッシ一家、ともかくハンディを抱えているからといって遠慮するところがありません。オトンとオカンは情熱的に愛し合いまくり、兄貴もスミにおけないモテ男です。配慮されて守られるべき存在、「個性」としてベタベタと肯定される障害者のステレオタイプをそれこそファックするようなやかましい生命感に溢れた家族です。
グザヴィエ・ドランのクィア映画といい、カナダの映画人はノーマルから逸脱する個人と家族の葛藤や紆余曲折をどうにか「インクルーシヴ」な感じのハッピーエンドに持っていこうとしていますね。その努力の過程で音楽の演出が重要になっていて映画全体がMVっぽく感じられます。
家族の束縛を脱して個人としての自己実現をいかにして勝ち取るかというフェミニズム的な問題が、障害を持つ家族に対するケアラーとしての役割とどう折り合いをつけるかという問題とクロスしていますね。オーディションのシーンは泣かせてくれるじゃない…。
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