よく映画の謳い文句に「この●●を体感せよ」みたいなのがあるけど、この作品こそ究極の体感する映画だと思う。
コンサートのあの演出で、健聴者の私は初めて彼らの世界をちゃんと理解した。自分たちだけ聴こえないということがこんなに心もとないものだとは。
ルビーは子供だけど、ずっと大人の振る舞いを求められて来た。
ルビーが生まれた時、耳の聴こえる娘と分かり合えないことを恐れた母。不器用ながらも妹の将来を心配する兄。聴こえないことの悔しさを何度も飲み込んで来ただろう父。
家族は仲が良く、間違いなく愛し合っているけどその想いが相手を縛りつけることもある。互いを思うからこそ、あえて手を離すことでそれぞれの世界を広げることもある。
～私は愛を両側から見てきた
与えたり受け入れたりしてきたけど
私は愛のことを本当は理解していない～
ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」のフレーズを聴きながらそんなことを考えた。
ところで、私は手話の知識は全然ないんだけどルビーが歌への思いを語るシーンでは何を言ってるかが大体伝わってきたので凄いと思いました。
