このレビューはネタバレを含みます
子供になりきれなかった子供時代を過ごした人の方が、刺さる物語だったように思う。ストーリー展開は王道なのに、予想がつくのに、ひとつひとつのシーンが緻密で正確で、だからこそこの物語は厚みがあってどっしり存在感のあるお話だった。
この映画の価値はストーリー展開にあるのではなく、家族関係の描い方の正確性にあると思います。
特にお前が来なかったせいで免許剥奪になった。からのシーンが個人的にきつかった。
全員が我慢してた思いを吐き出して、全員が自分の想いをとうとう相手に吐いてしまったことに傷ついていたシーン。その後各々が反省して、各々が相手にとってのベストアンサーを考えてきたのも苦しかったなあ。そして娘が残る提案におずおずとお願いするしかない家族。苦しかった。
特殊な家族だからこその結びつきの強さもものすごく良く表現されていた。普通の家庭ならただの「自立」と捉えられるものが、結びつきの強い家族であるがゆえに、家族から自立することが「家族を捨てた」と言う認識になってしまうんだよね。家族からだけじゃなくて自分の評価も「家族を捨てて好き勝手生きている」というものになっちゃうんだよね。だから大学に行くことを言い出せなかった。
そしてこれは決してこの家族の問題の終わりではない。これは「自立完了」の物語じゃなくて、「自立開始」の物語だから。ルビーはこれから完全に自分の人生を生きられるかと言ったらそうじゃないと思う。
常に家族を想いながら18年を過ごして人格が形成されてきたから、例えば音楽留学の機会が大学で与えられたとしても経済的理由から彼女はそれを諦める方向で考えるだろうし、例えば卒業後、収入が不安定なドリームジョブの機会が彼女に与えられたとしても、ルビーは家族のことを思って地元に帰るんだろうなと思うんだ。
だから複雑な気持ちになったって言う感想を言う人に共感してる。だからこれがダメな物語だと言いたいんじゃなくて、ストーリー展開が王道なのにも関わらず、役の設定や、描写や、家族の関係の描き方が、緻密で正確な素晴らしい物語だったと思ってます。
見てる人に家庭の複雑さを感じさせる程の正確な描写の映画だったなって思ってます。
ちょっと文が稚拙すぎて伝えたいことの4割も伝えられてない。あと数回見て出直します。