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コーダ あいのうたのSAtone52484のレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.6
ジョニ・ミッチェルの”both sides now”の歌詞の素晴らしさよ!!!歌う人、聞く人の立場によって、こんなにも多様な解釈が生まれることは、なかなかないでしょう…。



2014年フランス版の『エール』は観ていないのですが、当時話題になっていたこともあり、ストーリーはわかっていました。
難しい話でもないし、どんでん返しがあるわけでもなく、ストーリーラインは、映画としてはごくありきたりなのに、どうしてこんなに感情が揺さぶられ、泣けるんでしょうか?笑

まず…ろう者同士の会話のスピード、そして息遣いに引き込まれます。
私は手話がわからないので、字幕を読みながらの鑑賞だったので、その動きや表情に置いていかれそうになるぐらい、本当に表現が豊か。
そして主人公・ルビー。
家族の通訳として、がっつり頼られる姿は、ヤングケアラー的な要素が強く、その部分に胸が締め付けられます。
『私がやらなきゃ、誰がやるの?』という、【義務感】と【諦め】が混在するルビーの表情が溢れていました。(それがもう、涙を誘うんですねー。)

じゃぁ、家族がルビーをガチガチに縛りつけているかと言えば、そうでもなく(そりゃ多少はあるけれど) … それぞれに自分の力で進もうとしている訳です。
そこには、親として「自分の理解できない世界に子を送り出すことの不安」があり、「寂しさ」もあり…
この家族、とても感情豊かで、人間らしい!そしてそれは、愛が故なんですね。



“ I've looked at love from both sides now
From give and take
And still somehow
It's love's illusions I recall
I really don't know love at all”



ちなみにこの曲、『Love Actually』でも重要なシーンで流れてました。
その時は、この映画とは全く違う印象を持ったんです。。。
しつこいですが、ジョニ・ミッチェルの力を恐ろしいぐらい感じています。


あと、ルビーとマイルズの声の相性も良かったですね。
二人の本気の歌唱を聞ける!と思ったところでの、【あの演出】は、この映画の核心をついていると思います。
レビュー書きながら、思い出して泣きそうになる。笑




マイルズ、どっかで見たことあるよな…と思ったら、『シング・ストリート 未来への歌(2016)』の彼だったのかー。
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