MasaichiYaguchi

偽神のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

偽神(2020年製作の映画)
3.1
田辺・弁慶映画祭 キネマイスター審査員賞を受賞した小川深彩監督による神と愛の選択を描くサスペンス・ホラー「偽神」を観ると、改めてキリスト教について考えたくなる。
キリスト教は「神の子」であるイエス・キリストの教えを信じる宗教であり、その教えは本作にも度々出てくる「聖書」に記されている。
聖書には、イスラエルの指導者モーセを通して神様と結んだ契約を中心として書かれた「旧約聖書」と、イエス・キリストによる新しい契約を中心として書かれた「新約聖書」があり、旧約は39巻、新約は27巻あり、1000年以上に亘って同一の神について語る連続の書となっている。
そのテーマは「神・罪・救い」で、クリスチャンは神のことを「今も生きて働いておられる『真の神』」という言い方をよくする。
罪というのは「的外れ」という意味で、間違った在り方を指し、そして救いはイエス・キリストということになる。
新約聖書には、真の神が人間を罪から救うためにイエス・キリストを送って下さった事実が書かれ、旧約では、そのことが実現する数々の預言が書かれている。
だから本作のタイトルは「真の神」の対極にあるものを意味している。
映画のチラシやポスターに大きく写っているものが「偽神」を表しているが、私にはそれはルシファー(Lucifer)のように思える。
ルシファーは罪によって堕落した天使であるとされているが、この存在が意味するものが本作の“キー”になっていると思う。
果たして本作では、どのような“最後の審判”が下されるのか?
作品に印象的に登場するメリーゴーランドが恰も輪廻にように映ります。