ゆみゆみ

隔たる世界の2人のゆみゆみのレビュー・感想・評価

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)
4.0
アカデミー賞の授賞式を観て観ました。観るつもりでクリップだけしてたけど、たとえ30分でもきっかけがないと観れないな。

隔たる世界の二人はカーター(ジョーイ・バッドアス)とペリー(ゼリア)かと思ってたけど違ったな。警官(アンドリュー・ハワード)とだった。
生死を分けるんじゃなくて、思考の隔絶か。隔てているのは運じゃなく、ただ分かり合えない世界の二人なんだな。

重い重いテーマなのに作りがオシャレでポップで驚くけど、部屋の雰囲気から何から小綺麗で洒落ててカーターやペリーの暮らしぶりに憧れさえ抱くのに、一歩外に出るとあんな世界が待ってるカーターの世界ってなに?いや家の中でも関係ないってどういうこと?

カーターはグラフィックデザイナーという才能を持ち高収入でイケメンで。社会的には勝ち組と呼ばれるだろうに、そんな彼自身の背景は無関係にただ黒人と言うだけで理不尽な世界に突き出される。
パラサイトが韓国の社会格差を描けば、こちらは人種格差を描く。
世界は隔たりばかり。
隔たる世界がいつか同じ線で結ばれる日が来るのだろうか。繰り返した回数分の被害者は確実に存在する。それでも軽快な音楽で終わる作品のその雰囲気は決して抗議だけじゃなくて、分かり合いたいと願う気持ちを表している気がした。
ゆみゆみ

ゆみゆみ