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隔たる世界の2人のLzのレビュー・感想・評価

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)
3.6
挑戦的で、切実で、余りに残酷。

ループしていることは、あながち現実でも間違っていないというのが何とも皮肉。当人からしたら終わりが見えないし、環境を変えてみようとしても、自分を変えようとしても、かけられる言葉や態度は変わらないどころか、酷くなることさえある。変化を求めて行動し、例え変化があっても、必ずしもそれがプラスに動いたとは限らない。

この作品でも、その“変化”が最悪の形で起こっていく。ループもので起こる変化は大体希望を思わすのに、本作では絶望の前兆でしかなかった。この題材でループものにしたのは、入り込みやすさを感じると同時に辟易とさせられる要素があって素晴らしいと思う。

俳優さんの演技も双方リアリティに満ちていて、余計に嫌な気持ちにさせられた。理不尽に差別される側の、限りなく人間的で普遍的な部分。差別主義者の、蓋のない威圧さを持ち合わせた部分。本当に情が湧き、恨みが募る演技力には脱帽だった。これが創作の中だけで終われば良いのにと、何度も思わせられた。

たった30分で、地獄と希望と絶望を見る。そしてこれは、決して極端な例じゃない。
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