滝井椎野

シン・仮面ライダーの滝井椎野のネタバレレビュー・内容・結末

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

これぞヲタクによるヲタクのための映画。
ライダーファンへのご褒美というよりは、ライダーファンである庵野監督へのご褒美で作らせてもらえた映画という感じ。取り敢えず、ストーリーを楽しむような映画ではなく、記号としての仮面ライダーを楽しむ映画。
個人的にはかなり好き。

開始早々、かなりのテンポ感で話が進むのは正直置いてけぼり感を食らってしまったものの、まぁ仮面ライダーの映画は毎回こんなもんか……と個人的には気にせずに楽しむことが出来た。何よりもアクションが良い。あのパンチやキックの殺傷力ときたら……確かにこれは15やら20トンくらいあるわ……と変に納得してしまった。
またサイクロン号も最高に格好良い。走行中にビシバシと変形し、風を受けて変身する1号。並々ならぬ制作陣の拘りが感じられて非常に良い。
無骨な肉弾戦から空中戦から、ライダーキックの待ってました! 感は最高で、これがみれるだけで個人的には大満足であった。

キャラクターは流石、いずれも魅力的。あの昭和活劇感はなかなか出そうと思って出せるものじゃないだろう。特に本郷の演技の重厚さといったら……。今の時代なかなかみれるものじゃない。そこに庵野感も混じって唯一無二のものになっていて面白かった。
個人的に特に良かったのは何と言っても2号ライダーの一文字隼人だろう。あの爽やかさが堪らない。自由と孤独を愛し、それでいて情に厚く正義に燃えるその姿は正に仮面ライダーで、ショッカーライダーとの戦闘に駆けつけてくれた場面なんかは分かっていてもテンションがブチ上がり、両雄並びたちあのポーズを決める場面、ダブルライダーキックでボルテージは最高潮に達した。
あれはズルい……あれだけでライダーファンは満足出来てしまう。
オーグもそれぞれデザインが格好良く、政府の二人も良いキャラをしてる。最後に仮面が新調され、立花のおやっさんや滝の名前が明かされたことで次回作への期待が持てた。

最初から最後まで異星人として非人間感を貫いたウルトラマンに対して、最初から最後まで人間臭さを貫いた仮面ライダーは実に対照的で、両方とも作品やキャラクターへの理解度の高さが感じられて素晴らしかった。
思い返せば返すほどに語りたいところがあるのだが、とにかく最後はスッキリした良い気分で劇場を後に出来た。

それにしても、あのエンドロールはズルい。あれだけで仮面ライダーを観たな! という気にさせられた。
帰り道、一人で赤いマフラーを仮面ライダー巻にして帰るくらいにはガッツリと影響されたので、個人的にはかなりの傑作だったと思う。
最後、『かえってくるライダー』で締めたということは……是非とも続きに期待したい。
滝井椎野

滝井椎野