浪川リオン

シン・仮面ライダーの浪川リオンのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.6
冒頭の血飛沫のエフェクトからして何とも言えない"安っぽさ"を感じており、その「チープだなあ…」という印象が最後まで拭い去られる事はなかった。あの血煙、なんか初代プレステの『ブシドーブレード』みたいだった。

一番許せなかったのはライダーと敵がジャンプして地面を離れるとこでカット、空中で身を捻って回転するとこでも一度カット、違う風景に着地する…… というのを当時の映像そのままの表現でやっていたとこ。
"それ"は子供心に「ああこれは撮影技術の限界としてこういうカット割になっているんだろうな」と思っていた表現方法であり、当時のTVシリーズよりは間違いなく潤沢な資金と令和のCGの技術がありながら何故わざわざこんなチープな映像を作る必要があるのかと怒りで戦慄いてしまった。

この場面が象徴するように、全編通して監督庵野秀明がやりたい、見せたい事というのは「ボクが他の誰よりも仮面ライダーを愛している」という事であり、エンドロールに至るまでひたすらに監督の自慰行為を見せつけられているように感じた。

「気分スッキリだ」という台詞も何ていうか観客をナメていると思う。風景の色彩とか表情で伝えるとこだろそこは。全部説明すんな。

ストーリー展開も何だか冗長で、実際の上映時間より40分は長く感じた。予算と大規模な人手がかかっている以上、監督にはまずものづくりに当たって、見る人を娯楽として楽しませるサービス精神を持って欲しい。