浮遊

女と男のいる舗道の浮遊のネタバレレビュー・内容・結末

女と男のいる舗道(1962年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

すっごいすきだった なんでかって、似てるからわたしに いちばん似てたのはカフェで哲学の話してるとき突飛に愛について真面目に質問するところ 信じてるところ 逃げたいところ ずるいところ 人生はもっと簡単だって思ってるところ でも否定されてみたくもあるところ 楽になりたい
その質問のあと、謎のおじさんはなんか難しいこと言い出すけどぜんぶ好い様に受け取りたくなる 救いだって思いたい すごく良いこと言ってくれてるのわかるけど、突き詰めると恐くなるからさみしくなるから真面目に聞いてるのと脳内で耽美な解釈に筋合わせてくのとを同時進行するの 
こういう話するの好き きもちいいから これが哲学って知らなかった ほんとうにこれが哲学?わたし何度もしたことあるけど
完璧に美しいかたちの黒髪にカチューシャをつけてたばこ燻らすアンナカリーナが綺麗に悩ましげに無邪気にそのへんに座ってた客と話しだす 「話しても無意味だわ」 「話すことは話さずにいる人生の死を意味する」 そそられる 心当たりがあるから けど完全にはうまく掴めなくて、台詞を日記に模写した このシーンになにかある、大事そうで、無くしたくないような、でも知らなくてもいいようなこと 
含みのあるムード抜きにしてもお洒落で豊かな映画 アンナカリーナほんとうに綺麗 ゴダールと結婚してたって知らなかった お洋服素敵ぜんぶ 黒と白の組み合わせ モノクロだからほんとのところはわかんないけど短髪の魅力も相まってシンプルかつ最強にすてき 映画にいけなくて不機嫌になったあとジュースボックスに触れ踊りまわる所もいい(ここの両サイドに留めたヘアピンがとても可愛い)、私の生活が映画になればマシ 素敵なリズムのある映画 手紙を筆する長回しのシーンも手尺で身長を測るのもからだを売るのも煙草をたくさん吸ってるのも 
ぜんぶ自分の責任なの そういいながら映画館で泣いたりする ぜんぶがほんとうなの、そして惨め そしてたのしい 芸術と美、それが人生 それだけじゃむりなこと知っててもまだそう思ってる
浮遊

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