このレビューはネタバレを含みます
(※ 『哀れなるものたち(2023)』のネタバレもあります)
ラストシーンの衝撃が強すぎて、見終わった直後思い切り血の気が引いていた。
搾取構造の中に取り込まれてしまったからああいう最期になってしまっただけで、それ以外においてはまさに彼女の人生を生きていた。ジャンヌダルクの映画のシーンや哲学者との対話での爆破男の寓話も完全に結末の暗示になっていたんだと思う。この物語は、自由を謳歌し、考えながら自分自身の人生に従ったナナの殉教、つまりジャンヌダルクの映画の台詞から引用すれば「勝利」までの記録であって、ラストシーンには一切の余韻が必要とされなかったのではないだろうか。
他の方のレビューでランティモス監督の『哀れなるものたち(2023)』との対比があったのが面白かった。確かに。ただし本作の主人公は『哀れなる〜』におけるアルフィー(超サイコパスなヴィクトリアの夫)によって滅ぼされるところで終わってしまう。並外れた知性と安定した後ろ盾によって滅ぼされずに済んだのがベラというところなのだろうか。