このレビューはネタバレを含みます
生き抜くということを、懇々と考えさせられる映画だった。
労働というのは「生活する」ためのものだけど、それへの深刻さが度を越すと鬼気迫るものがあるな·····と思った。
途中に何個か、「これはどうして?」「ここのここの繋がりが分からん」ってシーンがあったが、変に納得してしまった。
「生き抜く」という鬼気迫る生活の中では、そんな些末なことを気にしていられない。
私は幸いにして安定した給与が入る身なので、生活においての瑣末なことを気にしてしまう。しかし生活が鬼気迫るものになると、小さなことを気にしていられない。無理だよな、そんなの。
もし私の会社が倒産して無職になったら、私は生き抜けるだろうか。
車も運転できない、営業に不向き。生き抜けるだろうか。
この映画で見た青柳監督、すごく周囲の人に恵まれてるというか·····人脈は財産だ。デリヘル嬢にお金がいくように·····と わざわざ電話するシーンが象徴している。
いい人だ。
クエスト達成間際のシーンを見て、監督の本業が映画監督で本当によかった·····と思った。
仕事は生き抜くためだが、誰の心にも承認欲求が巣食う。もし監督の本業が映画監督ではなかったら、労働に心を奪われて、もう戻ってこれなかったのかもしれない。