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チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズのmaverickのレビュー・感想・評価

4.0
同名のTVアニメシリーズの映画化作品。2022年5月20日にDisney+独占配信された。


TV版『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』は1989年に放送。全65話が放送され、チップとデールを中心とした仲間との冒険アニメになっている。映画化された本作は、その後日談。あの番組に役者として出演していたチップとデールの数十年後を描いた物語である。

この内容はいろいろと衝撃的。そもそもチップとデールがディズニー世界のキャラクターではなく、現実世界で生きている存在の設定。あの愛らしい声も役として作っており、普段はもっと低い声なのだ。これはチップとデール好きにはショックが大きい。あの声あってこそのキャラクターであり、見た目には同じでも受ける印象が全然違う。チップとデールに限らず、ディズニーのキャラクターは声のインパクトが非常に大きい。ミッキーもドナルドもグーフィーも、あの声じゃなければ成り立たないところがある。そういう意味で最初は受け入れがたい作風だった。

さらに衝撃的なのは、劇中の様々な他作品のオマージュである。夢のコラボとでもいうべきか、ディズニーの枠を超えた多くの作品が登場する。やり過ぎともいえる暴走っぷりに「怒られるのでは?」と心配になるほどだ。しかも結構過激な扱い。ディズニーにしてはぶっ飛んでいて、そういう意味でも驚きだった。とにかくネタが豊富なので、それを見つける楽しさもある作品だ。80年から90年代の古いネタが多く、本家テレビシリーズの放映時に合わせたチョイスなのかなと。日本でも有名なロボットアニメの登場には思わず声が出た。日本発で海外人気が高いものも多数で嬉しい。あのゲームキャラとかね(笑)。

最初こそチップとデールの声に違和感だったが、そのうち慣れる。いつもの二匹とは違う別作品として楽しむべきだ。小さい頃の出会いのシーンとか、本家にはない感動エピソードもある。声や設定が違っていても、ちゃんとチップとデールだと感じさせるのは流石だ。


ストーリー的には平凡。チップとデールを主軸にしたドタバタ劇と、盛沢山のオマージュ要素を楽しむ作品だ。夢を与えるディズニーにしては作風に違和感はある。最近のディズニーは、いろいろと現実寄りだと感じるかな。ずっと同じことをやっていては飽きられるし、時代に合わせて変化もしなきゃいけない。難しいところだ。本作はスピンオフの立ち位置だからさほど気にしないけどね。無難な外伝作品かと思いきや、衝撃度の大きいサプライズ作品なのは野心的だった。常に挑戦する姿勢というのはディズニーらしくて好きだ。
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