あさのひかり

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)のあさのひかりのレビュー・感想・評価

4.4
今年は旧作も含め、観てきた音楽ドキュメンタリーが当たり年なので、これもその予感・・観なきゃ!と思って観賞、実際、本当に素晴らしかった。ウッドストック初開催の年に行われたハーレムでの音楽フェスティバル。

色んなジャンルの色んなブラックミュージシャン(だけじゃなくて、南米出身ミュージシャンのラテンミュージックなんかもある)が出演してるから音楽的には本当に多岐にわたってて、これだけ色んな音楽聞ける、ってだけでもとても豊か。金銭、安全面何とか難しいところやりくりしながら無料で行われた、ってのも素晴らしくて、コミュニティのためにこのフェスティバルをやるんだ、っていう心意気の素敵なこと。だから会場の人だかりは凄いことになってるし、熱気がありつつも温かい感じもあってとても良い雰囲気。

スティーヴィーワンダーやBBキングやスライの音楽を聞けたのもうれしかった。でも、何よりも心打たれたのは、キング牧師の好きだったゴスペルの曲を、マヘリア・ジャクソンがステイプル・シンガーズのひとりのサポートで歌ったシーン。あの時の歌声は、キング牧師に届けとばかりのまさに魂の歌声で、思いがけず涙が溢れて止まらなかった。

こんな貴重なものを録画して残していて良かった、と思うとともに、これを放送しなかったことで、隠そうとした事実が残ってしまう、というのもまたある意味皮肉なことと思ったり。
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