松岡茉優

Our Joyful Young Days(英題)の松岡茉優のレビュー・感想・評価

Our Joyful Young Days(英題)(1987年製作の映画)
4.4
ぺ・チャンホの中では恐らく今んとこベスト。アン・ソンギ兄貴が一途なオタク系男、ファン・シネが演劇部の将来有望な女優役。アン・ソンギの役が一歩間違えればストーカーレベルで、拗らせすぎてて変に気持ち悪い笑。逆に言うと、ここまで1人の女性を純粋な気持ちで愛し抜くって逆に凄いと思う。
初めてのデートシーンではコップ越しにファン・シネを見たり、メガネ越しに見たり変なショットも多くて良い。相手の飲み物を溢してしまい、服にかけてしまうアン・ソンギ先輩…。
後半の展開もまあ納得できるのだが、女が不幸になる話がなぜ韓国ではこんなに多いんだろうか…。3年が経ってもガチ恋し続けるアン・ソンギももはや狂気としか言えない。不器用な役なのは百も承知だけど、あんまり愛おしさが伝わってこなくてただのやばい奴みたいになってる。ファン・シネとコンビニみたいな場所で再会するシーンでは長回ししたり、会社の前で待つシーンではビルの上から下へとカメラがクレーンで移動したり撮影は結構気合入ってる。
一方、ファン・シネは最初から最後まで本当に美しくて素晴らしい。冒頭の独白シークエンスから心奪われたし、アンニュイな雰囲気を演技でここまで出せるのって天才だと思う。監督の演出を超えたポテンシャルが凄い。前半も後半も衣装や髪型が変わっても美しかった。もしリメイクするとしたら是非ぺジュ姫にこの役やってもらいたい…。
ただ「後もう少し演出がうまかったら6億点なのに…」と感じるシークエンスとかショットは沢山ある。特に酷いのは、ファン・シネが雨の中外で彼女を待ち続けるアン・ソンギを迎えにいくシーン。1番泣けるはずなのに、バカみたいにデカい音楽流しちゃうのが最低すぎる。『ディープ・ブルー・ナイト』の馬鹿でかい音楽は最高だが、今回はどう考えても絶対ダメでしょ。例えばあそこでファン・シネが会社から走って傘を届けてたらボロ泣きしてたと思う。男も女もそこまで能動的じゃない故に動きで気持ちを伝える所が少なくて、もっともっと動き回ってほしかった。
ラストは『タイムアバンチュール』の次に泣けるベンチ映画であった。長々書いたけどなんやかんやいい映画だった。サントラも欲しい!
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