Filmarksオンライン試写会にて。
Filmarksさん、ありがとうございました。
あみ子は風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれる兄、 書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる義母、 憧れの同級生のり君。沢山の人に見守られながら生きるあみ子だが、純粋で素直なあみ子の行動は周囲の人たちを困らせることになり…。
原作が先日観た『星の子』と同じ方の小説だと知り気になっていましたが、内容はあらすじ以外知らずに観始めたので、結構な衝撃でした。
ストーリーというよりは、私の中の認識が二転三転し、昨晩観たのですが、今日一日あみ子の事を考えずにはいられなかったです。
ここからネタバレ&考察⚠️⚠️⚠️
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前情報一切なしで観たので、「風変わり」なあみ子の天真爛漫というか、純新無垢というか…悪く言えば人の気持ちの分からず、とてつもなく無神経…な部分が衝撃だった。
勝手に、ほんわか子供映画みたいなものを想像していたので、より衝撃を喰らった。
正直、え、なにこの子、え?!。と思った。
そしてその瞬間、気付いた。
めちゃくちゃ強い発達障害なんだと。
(作中では明記されていません)
ほんわか子供映画のつもりで観ていたので、あみ子のほのぼのした想像力はファンタジー要素かと思っていた…。自分の想像の世界が強い特性の表現が凄かった。
あみ子の「風変わり」は、俗に映画のあらすじに表記されるようなステレオタイプの「風変わり」ではない。
金魚のお墓の隣に自分の弟のお墓をたてちゃうし、大好きなのりくんにはクッキーのチョコの部分だけ舐めたクッキーをあげてしまうし、他にもASDだし多動症だよなぁ…と思う場面ばかり。でも、明記されていないからこそ、あみ子に寄り添って作品を観る事が出来たし、考える事が出来たと思う。レッテルを貼らない秀逸さ。
あみ子の言動は、生きて行く上で、本人にも周りにも問題となる事ばかり。純粋と言ってしまえば良く聞こえるけれど、その破壊力は凄まじい。あみ子自身も、虐められているし、悪気がないからこそ、近しい人間がボロボロになってしまう。
自分があみ子だったら…と考えるのは難しいけれど、自分が父だったら、義母だったら、兄だったら…と考えながら観ていたし、これから観る人には考えて欲しいなと思った。自分ならあみ子を守れるか、躾られるか、暴力はしないか、グレないか、見離さないか。
あみ子は中学を卒業すると、家族に見離され、一人祖母の家に預けられる事に…。
辛い…辛かった。
でも、重い重い現実だった。
親を責めるなんて綺麗事だと思った。
でも、凄く凄く悲しかった。
悲しくて、悲しくて、涙が止まらなくなった。
私は短期間だけど、発達支援センターで働いていた事がある。短期間だったのに、今も子供達一人一人を良く思い出す。そのくらい人生において大きくて貴重な経験だった。一人一人が可愛くて仕方なかった。めちゃくちゃ悩んだ事も多かったし、深くは関われなかったけど、子供達の明日や、一年後、二年後が今日より少しでも生きやすく、笑顔だといいなと思っていた。
私にとっては思い出だけど、本人と親御さん、家族にとっては日常で人生なんだと改めて思った。
学校で男の子にあみ子が「気持ち悪かったかね?」と聞くシーンの男の子の言葉。
最後に、あみ子に友達がいたこと。
少しだけど、希望が持てるシーンで、心が温かくなって涙が出た。
優しさ、思いやり、大切だなって強く思う。
でもそう強く思うと、やっぱり涙が出る。
『星の子』もそうだったけど、凄く繊細なのにリアル。身近。淡々としてるのに、ものすごい衝撃。小説は読んでないけど、今後も今村夏子さん原作の映画は絶対に観ようと思う。
2022-206