ルイまる子

こちらあみ子のルイまる子のレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
4.8
うわ〜この映画は確実に残るな〜。自分の子供時代あみ子に若干似てる…しかし不思議な作品でもある。子育て経験した大人からするとこんな急激な形で家庭崩壊する?と不自然を感じたが、実は本作は奥深くて物語が客観ではなく、あくまであみ子から見た目線で描かれているのだ。不思議な展開であったとしてもそれはすべてあみ子の目から見た家庭崩壊なんだろう。それに絵が美しいのだ。詩的な作品でもある。虫の描写、夏の描写、あみ子の天真爛漫な一人遊びも大好き。目に焼き付く映像ばかりだった。あみ子の表情が残るな〜残るな〜あ〜心にグサグサ刺さるな〜。
【ネタバレあり】
あるきっかけからネグレクトされ始める…でも、すべてがあみ子目線であるってこと、でないと説明がつかない点がたくさんある。例えばお父さんお母さん、たかが(と言っちゃ悪いが)弟(妹?)が死産だったくらいで…流産したり、頑張って妊娠したのに死産だったのは確かに辛いが、時間とともに癒えていく傷だろう。それを日頃から無神経極まりないあみ子が彼女なりの表現で母を慰めようとお墓を作ったからって、「ありがとうねーでもちょっとお母さん、お墓は作ってほしくないのよ」と言えば済むだけのこと。そしてその出来事を堺にずっと寝てばかりでご飯も作らなくなる。リビングのテーブルでもあみ子の目には机に突っ伏して寝てる母の髪の毛しか映らない。それにしても、誰もなんにもしてくれない、あみ子とコンタクトしてくれない。その中で、唯一不良になったお兄ちゃんはベランダから聞こえる霊魂の声も解決してくれた。なんと言っても坊主刈りの子が最高だ!今日なんと、新宿のシネマカリテで森井勇佑監督の映画終わりのトークショーを見ることが出来て、監督の口から色々お話が聞けて大感激だった!森井監督によると、子役の指導は一切してないらしい。だから?あの自然な演技力が可能だったのか!坊主頭の男の子の長台詞すごい!と感動したが、あれらは8テイク位撮ったらしい。その中で例えば6テイク目と8テイク目の一部分を繋げる様な作り方をしたとの事でした。あみ子の気持ち悪いところ?どこ?百億個くらいあるでーと言われた時のあみ子の表情が本当によかったね!初めて他人があみ子の世界に入ってきてくれてコンタクトしたシーンだね!

海の向こうから船に乗ったおばけ達がこっち来いこっち来いの最後のシーン良かった。「大丈夫!」と言ったあみ子。おばあちゃんが居るしね、保健室の先生みたいな人が一般的だよこの世は。そこまで親身じゃなくても結構みんな優しいよ。それにお父さんも、お兄ちゃんも時々は来てくれるよ。それにね、坊主頭の男の子みたいな人が一人くらいはいて友達になってくれるよ、きっと。

*原作も読み、視聴後数日経ち、お母さんが壊れたのはあみ子のせいだと知った。自分の家族に発達障害が多く、自分も若干そうなので(社会性はあるが)、あみ子のような子供と付き合うのがそんなにしんどいとは分からなかった。時々付き合い、時々距離を置いたり、注意したり、無視したり、適当にできないもんなんですかね?結局主題がわかっていなかったのかな。しかし私の様な見方の人も多いと思う。
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