途中まで面白く観ていたのだが、終盤に進むとガッカリが大きくなる。
そもそもこの物語をどう畳むのかを考えてもいたのだが、予想を裏切る形で承服できない展開に。
ホロコーストの犠牲になり、生き延びたユダヤ人たちが、今度は元ナチス兵を処刑していく。
そのユダヤ人側にも立場の違いがあり、ナチスと同じように「民族浄化」として民間人のドイツ人をも虐殺しようと考える。
その「復讐者」たちの物語なのだが。
冒頭に「実話」と称して、その「報復」が妄想だったというオチは受け入れ難い。
「…だとしたら」みたいなことを、映画という大嘘の機能を使って「本当のこと」であると、フィクションの醍醐味まで高めてくれているかというと、語り口が「腰が引けている」と感じる。
ニュアンスとしては「なーんちゃって」という風に見えてしまう。
急転換する「ハッピーエンド」には、それを裏付けるような主人公のマックス(アウグスト・ディール)のドラマが弱い為だ。
夜な夜な悪夢にうなされ錯乱するアンナ(シルヴィア・フークス)との姿を横目で見ながら交流していたり、あるいは作戦自体から離脱したことも原因と思われるが、腑に落ちるほどには、納得感のある描写になり得ていない。
僕はこの「その件には一応触れてはいる」という描写の曖昧な映画を嫌う傾向がある。
題材的にも、物語の着眼点でも面白みのある作品でもあるし、画面作りなども含めてかなり引き込まれる映画であるにも関わらず、作品としての深みがラストで白けてしまった印象でガッカリしたという感じ。