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スティルウォーターのらのレビュー・感想・評価

スティルウォーター(2021年製作の映画)
3.8
余計な皮肉抜きに典型的なアメリカ保守層の白人男性労働者を主人公としているところにまずグッときてしまう。そんな主人公が不釣り合いなマルセイユの街で奮闘する姿にさらにグッとくる。という余計なフェティシズムを抜きにしてもとても良い映画。撮影も美しい。

主人公のビルは一般的に(ほとんど偏見として)イメージされている保守的なアメリカ白人男性より多面的な人間として描かれていて、マルセイユのリベラルな女性ヴィルジニーやその娘マヤとの親交を深めていくところにも説得力がある。事実、特定の属性を持つ人々でもその考え方や性格は当然のごとく多種多様であり、単純化されたイメージが余計な分断の種となるのだ、ということを改めて思い起こさせてくれる。
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