『進め! リストラ誘拐団 史上最低の誘拐計画』
原題 Chopping Block
製作年2015年。上映時間82分。
アメリカンジョークがさく裂(肌に合わなければ爆死、合えば爆笑)するクソ喜劇と、血しぶきが飛び散るスラッシャーが同居する新感覚のコメディホラー。
笑いに重点が置かれているのでホラーが苦手でも楽しめる※かも。
チームリーダーのダニーは先週から替わった上司へのプレゼン(アホすぎるしプレゼンと呼ぶべきか否か)に失敗し、チームごと解雇を通達される。
突然の出来事に不満を爆発させたダニーは、部下達に、上司の娘・ダニエルを誘拐し身代金を奪い取ろうと話を持ち掛けるが。。。
アマゾンで今作品を観た。
平日の深夜にインディーズのホラー映画や変わり種を見るのは一日の疲れを癒してくれるから好きかな。
多くは楽しめるし、そうでないものは大体見切れるし、二の足を踏むこともない。
今回は珍しく映画にワクワクしなかったが、議論せざるを得ない。
私の意見では、今作品はオススメできるほどの映画ではないが、良い映画を作れる人たちによって作られたことはわかる。
バカにしているわけでも、見下しているわけでもないが。
また、今作品の俳優陣の演技は素晴らしいとは程遠い。
なのに俳優たちには好感が持てた。
ただ、最大の問題は、この映画が完全に登場人物についての映画であるにもかかわらず、誰もまったく成長しておらず、説得力がないこと。
台詞の多くが即興の練習のように感じられるが、誰も自分のキャラの動機がわかっていないように見える。
シーンは信じられないほど薄く引き伸ばされ、台詞は蛇行し、しばしば強引に聞こえる。
役者たちのケミストリーが感じられるようになるまで、演技のショーケースにはしないでほしい。
今作品が役者に頼り切っていない分、映像はしっかりしており、"安っぽさ "はない。
映像はシャープで、照明も悪くない(あくまでもこないな作品としてはのレベル)。
実際、最小限のカメラワークも悪くなく、もっと熟練したアンサンブルの方が適しているかな。
まばらなサウンドトラックはユニークで楽しいが、それほど多くはない。
ミュージック・モンタージュ(構成、組み立て)は躍動感は多少あるが、エネルギーはそのトーンにマッチしていない。
それに、ストーリーについては、あまりに薄いかな。
ある従業員チームが職を失い、1ヵ月後に社長の娘を誘拐して金を脅し取ろうと計画する。
このチームの計画は、自宅の外に駐車し、娘を見かけたらさらうというものやった。
また、どの家が彼女の家なのかもわからない。
また、彼らが彼女を待っているのとまったく同じ時間に、彼女は大量殺人の唯一の生き残りとして歩いて家に帰る。
この映画では何も得るものはない。
コメディでもホラーでもない。
何かが起こりそうなのはわかるが、それはこの映画のタイトル(原題)が『チョッピング・ブロック(その上で食料を切ったり刻んだりまたは木を割ったりできる厚い頑丈な木製のブロック)』であり、最初に登場する人物が血まみれだからに他ならない。
※冒頭のシーンは、実際には何の危険も導入していない。血まみれの少女が道を歩いていて、無能な見知らぬ人たちに進んで拾われるという、漠然とした、究極にくだらないシーン。
脅威も実際のジレンマも導入されていないし、特に面白いわけでも怖いわけでもない。
悲惨な姿の人物を見た後、多くの時間が過ぎ、特に特徴的でもない登場人物の間で無目的な会話が続くので、これが終わるまでに人々がバラバラにハッキングされる可能性があることを忘れそうになる。
今作品でアクションやサスペンスに近いものが起こるのは、映画の最後の20分で、ほとんど完全にトーン・シフトが行われ、それまで見ていたとりとめのない中途半端なコメディに、別の映画がぎこちなくはめ込まれる。
また、特筆すべきは、実際に起こったことを暗示するようなシーンがたくさんあるのに、実際に起こったことはほとんど描かれていないこと。
それ自体が失策だとは云わないが、この作品には推進力がなさすぎるため、実際に何かが起こっても、ぎこちなく場違いな感じがしてしまう。
こう書くと、今作品を嫌っているように読み取られるかもしれませんが、でも、"みんなもっとうまくやれるはずや!"と思わせるような作品やったんはたしかやし残念です。
この映画に留まったのは、この映画に可能性があったからやと思います。
でも、すごくがっかりしたわけでもないかな。