もちもち

ノースハリウッドのもちもちのレビュー・感想・評価

ノースハリウッド(2021年製作の映画)
5.0
プロのスケーターを目指し高校を卒業したマイケル。ジェイ、アドルフの親友たちと共にスケートを楽しみながら、父親からは口うるさく大学への進学や安定した就職を勧められる日々。プロスケーターと親密になり、片思いのレイチェルとも付き合い始めたマイケルだったが、彼の変化からジェイ達との関係に亀裂が生まれてしまう。大人になる途中の夢を追うティーンエイジャーの葛藤や苦悩、そして成長、友情、親子愛を瑞々しくスタイリッシュに描いた青春映画。「mid90’s」に似た作品ではあるが、「行き止まりの世界に生まれて」をブレンドしたような感じ。ストーリーも良いけど、何よりもまず引き込まれるのは音楽とファッション。ポパイの紙面から切り抜いてきたようなオシャレなスケーターファッションの数々。キメてないんだけどキマってる、なんかそんなカッコよさが溢れ出てる。そしてゆったりしたものからアップテンポなものまで、シーンにぴたりとマッチする音楽。スケボーがとにかくカッコよく見える。自然なティーンエイジャー達の一瞬を切り取ったようで、どのシーンもとにかくシャレている。実際のスケーター達だからあんなにリアルな感じがするのかな。夢を追いかけたり、彼女ができたり、自分が変わってく中で昔からの友達やノリが少し恥ずかしくなって遠ざけたり、将来のことを漠然と考えながら、夢と現実の間で葛藤したり、子供から大人になる間の中途半端に揺れるティーンエイジャーの心情を上手く描写していて、すごく好きな物語だった。ジェイやアドルフとの友情もいいんだけど、やっぱり父親との愛情が泣けた。しつこく大学への進学と安定した就職を勧めてくる厳しい父親に不満を見せながらも従って、面談を受けたり、仕事を教わったりするマイケル。鬱陶しく思ってはいるけど、愛情は感じていて、自分の夢を理解してもらいたけど、強く言いきれるほど自信もなくて、そんな微妙な父親との関係。ラストの父親にプロスケーターになると宣言し、泣きそうになりながら父親に暴言を吐くマイケルと、夢を諦め、息子に全てを捧げてきたことに後悔はないと言う父親。あそこは泣ける。鬱陶しい父親に見えるけど、マイケルのことを馬鹿にした同僚にブチギレるとことか、マイケルのこと叱るのも全部愛情からなんだなっていうのがひしひしと伝わってくる。なんかそういう描き方が上手かったなあ。ヴィンス・ヴォーンのこういう役も結構良かったし、マイケル、ジェイ、アドルフがじゃれてる姿が微笑ましい。スケボー映画はとにかくはずれがない。
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