Sasada

前科者のSasadaのレビュー・感想・評価

前科者(2022年製作の映画)
3.6
ドラマ版を年末に観てまして。共通する要素を数多く感じる映画版でした。

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気づいたら搾取され、利用され、社会から“自己責任”で切り捨てられる女たちと、彼女たちに「あなただけが背負い込む必要はない」と言い続ける保護司の物語だった。
現実同様に答えとか解決策なんか簡単に見つかるわけなくて、でもそこをぼかさなくてめちゃくちゃえぐい仕立てになってるのが凄い。

彼女たちが陥る理不尽さを表す言葉を与えてあげることで認識を変え、辛いと心情を吐露することで他者と連帯する。

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今作でも森田剛と若葉竜也演じる工藤兄弟が陥る地獄は、彼らの頑張りでどうこうできるもんではない。
社会の悪意や少しのアクシデントが積みかさなれば、崖っぷちの人間たちは簡単に堕ちてゆく。

堕ちた先では“正しさ”を諭され、“更生”をリクエストされるけれど、彼らではどうしようもないのだから、努力の仕方もわからない。

だからこそ彼らに必要なのは「佳代ちゃんみたいな」「弱い人」でありもっといえば「弱さを叩き潰さない社会」なのだなと。

加害者を止めることを信条に生きる刑事と弁護士、そして保護司。彼らそれぞれの思いを絡めたストーリーは、映画だから盛り上げようと頑張った感あって少し気になる点もあるけれど。(一般人に情報と拳銃を提供する機関でしかない警察とか)

森田剛と若葉竜也を相手にしても堂々とセンターで躍動する有村架純。素晴らしかったです。
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